会議にはつきものの議事録ですが、議事録の本来の意味を知っている方は少ないのではないでしょうか。
議事録は、単なるメモや会話内容の記録ではありません。
いかに情報を整理して記入するかが重要であり、大きな損失にも利益にもつながるのが議事録です。
また、社内で閲覧する以外に企業間や顧客向けのツールとして使われることもある、重要なアイテムでもあります。
今回は議事録本来の目的から良い例・悪い例、そして具体的な書き方のノウハウについて解説していきます。
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目次
- 理想的な議事録の文章の書き方とは?
- 議事録を上手にとるための情報整理・まとめ方・文章の書き方を紹介
- 議事録の本来の意味、良い議事録・悪い議事録の事例
1. 理想的な議事録の文章の書き方とは?
会議の議事録はビジネス文章ではありますが、通常の文章とは異なる点がたくさんあります。
ここでは議事録として適している文章かどうかをチェックする、4つのポイントをお伝えします。
主語述語がしっかりと明記されている
会議中に交わされているのは「会話」です。
そのため、主語や述語を省いた状態で「あれね」「いいんじゃない?」「それで行こう」などの言葉が飛び交うことも多いです。
しかし、この言葉をそのまま議事録に書いてしまうと、あとで読み返した際に意味が分からなくなってしまいます。
発言内容を勝手に変更するようなことがあってはいけませんが、足りない主語や述語を補い、読みやすい文章にすることはとても大切なのです。
発言者が誰か、分かるようになっている
社外の人を含めた会議の場合、特に「誰が」発言したのかという点が重要になることがあります。
クライアント側か・社内の意見なのかで、その後の方向性も大きく変わってしまうからです。
また、会議の出席者一覧を作成する際にも、社外の人がいる場合は特に注意が必要です。
社内の会議であれば役職の高い順に並べるだけで構いませんが、
社外の人がいる場合、社外の人はもっとも上に書く必要があります。
また、基本的に社外の人がいる場合は敬称をつけて記載します。
(ただし「部長様」などと書くと二重敬語になるため気を付けてください。)
さらに人数が多い場合など、敬称を省略したい場合は必ず「敬称略」を付けて記載することを忘れないようにしましょう。
数字など、定量的な情報がしっかりと書き入れられている
会議の最中から気を付けるべきことですが、発言の中に日時・人数などの数字が出てきた場合、
その内容はしっかりと書き入れる必要があります。
具体的な数字を入れることで、より読みやすく分かりやすい議事録の作成が可能です。
挨拶の内容など、無駄な情報をなるべく省いている
議事録は、会話の内容をすべて書けばよいというものではありません。
むしろ、不要な情報を入れすぎることで本来伝えなければいけない情報が埋もれてしまう可能性もあります。
そのため挨拶は省き、長い話は要点して書くようにしましょう。
また、すべてを会話通りに残す必要はなく、臨機応変に箇条書きを使うことでより読みやすい文章に仕上がります。
2. 議事録を上手にとるための情報整理・まとめ方・文章の書き方を紹介
議事録を上手にとるためには、何よりも経験を重ねてコツを掴むことが重要です。
ここでは、良い議事録をつくるために必須の「情報整理」「まとめ方」「文章の書き方」についてお伝えします。
理想的な議事録を構成するための情報整理の方法は?時系列・空雨傘・図解化による情報整理
良い議事録を作成するためには、得た情報をいかに整理するかが重要です。
まず、情報整理に役立つ3つの方法についてご説明します。
時系列
発言内容を時系列にまとめるメリットは、後から読み返した際に経緯が分かりやすくなる点です。
ただし、それはあくまで自分の中での整理のしやすさです。
実際に議事録を作成する場合、ただ会話を時系列に並べるだけではニュアンスが伝わりません。
不要な発言を抜いたり、説明を足したりして文章を整える必要があります。
「空・雨・傘」フレームワーク
マッキンゼーなどのコンサルティング業界でも用いられているのが
「空・雨・傘」という問題解決のためのフレームワークです。
「空・雨・傘」とは、
1. 空を見上げると曇り空である(=事実)
2. 雨が降りそうだと気付く(=事実の解釈)
3. 傘を持って出かけた方がよいだろう(=判断)
このように「事実→事実の解釈→判断」の順番に物事を考えることを指します。
この方法を議事録に応用すると【事実】→【事実から見出した課題】→【施策】と整理され、
経緯や論点が分かりやすくなるメリットがあります。
ピクトグラムなどの図解活用
情報を整理する段階では、積極的に図解を利用しましょう。
言葉だけではイメージが描きにくい場合でも、ビジュアル化することで会議の本質が見えやすくなります。
また、1つの議題から複数の問題点・解決点が発生した際は、
課題に関する要素をツリー状に記載するロジックツリー方式も効果的です。
理想的な議事録に載せる情報のまとめ方は?5W1H・PREP法による漏れがなく論理的なまとめ方
情報を整理した後はまとめる作業に入ります。
ここでは、分かりやすいまとめ方を2つご紹介します。
まとめ方のコツさえ掴むことができれば、分かりやすい議事録作成のゴールは目の前です。
PREP法
PREPとは
「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(まとめ)」を意味します。
議事録のみならず、ビジネス文章全般において「結論から先に書く」ことが重要とされています。
最初に結論を書くことで、忙しい人が目を通した際もすぐに内容を理解することが可能です。
議事録の場合、理由=概要とみなして構いません。
具体例の部分では、誰が何を発言したのかを記載します。
発言をそのまま書くと分かりにくくなるため、「前の会議で出た内容で進めよう」という発言であれば、
「12/3の会議にて合意した内容を進行することを確認済み」のように改めます。
「前の」「あの」「それ」などの言葉は、何を意味しているのかを確認し、はっきりとした言葉に置き換えましょう。
5W1H
5W1Hとは、「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」
そして「どのように(How)」というビジネスでもっとも基本となるフレームワークのこと。
他のビジネス文章同様、議事録を作成する際にも5W1Hを記載することは基本です。
また、決定事項だけでなく、次回の会議に持ち越す内容についても記載することで、より意味のある議事録となります。
特に、次回の会議開催日までに結論を出さなければいけない内容などは、
5W1Hをしっかり記載し、会議に出席していない人にも周知をはかりましょう。
さらに、より具体的な議事録の書き方を知りたい方、今すぐ使える例文や便利ツールをお求めの方は、
「議事録の書き方・例文集」
というお役立ち情報をご参照ください。
3. 議事録の本来の意味、良い議事録・悪い議事録の事例
議事録の目的は、会議後の決定事項、決定の経緯を共有することです。
仕事の都合などで会議に出席できなかった人も、議事録を確認することで内容や経緯を把握することができる便利なツールです。
議事録の目的とは?決定事項、経緯の共有の再現性のある状況をつくること
実際に会議に参加していた人でも、すべての人の発言内容を記憶しているわけではありません。
「言った、言っていない」などの水掛け論や思い込み、認識間違いを防ぐためにも、議事録は役立っています。
では、議事録とメモの違いは何なのでしょうか?
それは人に見られることを前提にしている点と再現性の高さの2点です。
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単なるメモであれば自分の確認用ですから、他の人が見ても意味の分からない殴り書きのメモでも問題はありません。
しかし議事録は会議に参加していない人が読んだ際、会議の様子がしっかり分かることが前提です。
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良い議事録にするためには書き方はもちろん、情報の正確性にも気を配る必要があります。
会議の参加者の役職や名前、決定事項の記載漏れや開催日時の記載ミスに気を付けてください。
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会議では全員の声がよく聞こえる場所に座るようにしましょう。
遠慮して端に座ってしまい、よく聞き取れなかったということがあっては意味がありません。
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メモはPCでもノートへの手書きでも構いません。また、鮮度も重要です。
デザインなどに凝るよりもスピードを重視しましょう。
そして、長くても1週間以内に仕上げることを心掛けましょう。
議事録の目的やイメージを描くことができたでしょうか?
「議事録とは?議事録の意味と目的を知って書き方のコツをつかもう」
というお役立ち情報では、具体的な書き方のコツを交えながら、良い議事録の書き方について紹介しています。
良い議事録とは?明瞭性があり誰がいつ読んでも同じような解釈ができるような内容
良い議事録には3つの条件があります。その条件について見ていきましょう。
内容が明瞭であり、誰が読んでも分かる
「会議に出席していない人が読むことを前提に、分かりやすく書かれている議事録であること」これは必須の条件です。
読む人によって解釈が異なってしまうような曖昧な表現ではなく、シンプルな表記を心掛けましょう。
結論が明確に書かれている
結論はできる限り明確に記載しましょう。
結論までの経緯を知りたい人だけでなく、結論だけを知りたい人もいますので、先に結論部分を書くことで読み手に優しい議事録となります。
また、会社によって異なる部分はあるものの議事録はフォーマット化されていることが多いです。
一般的には「会議名」「開始日時・終了日時」「開催場所」「出席者」「会議の趣旨・目的」「決定事項(結論)」「概要」と記載します。
会社独自のフォーマットがある場合は、その内容に従いましょう。
意思決定の内容と経緯が分かりやすくまとめられている
結論に至るまでの経緯を書く際、重要なのが「誰が」「何を」発言したのかという点です。
ただし、発言内容をそのまま記録する必要はありません。
会話口調をそのまま記載すると論点が分かりにくいだけでなく、後から必要なコンテンツを探すのに時間がかかります。
そこで「重要な部分のみを取り出す」「意味合いを変更せず表現を変更する」などのテクニックも必要です。
悪い議事録とは?情報整理ができておらず論点が把握しにくい文章の主体が不明な内容
次に「悪い議事録」の例について見ていきましょう。
情報整理ができていない
発言者の言葉をそのまま書いた議事録は読みにくく、議事録にふさわしいとはいえません。
発言内容をそのまま文字に起こしてしまうとダラダラとしたまとまりのない文章になりがちです。
情報をまとめて何が必要で何が不要かを判断し、シンプルに記載する必要があります。
論点が整理できていない
議事録を書く側が論点について理解できていない場合、漠然とした内容の議事録になりがちです。
また議事録の書き方以前の問題として、会議の中のメモの段階で必要な情報が聞き取れていないこともあります。
そのためメモをする段階から「5W1H」を心掛けましょう。
文章の主語がなく、伝わりにくい
会話の言葉をそのまま議事録に記載してしまうと、主語がなく分かりにくい文章になります。
「あれ」「それ」などの言葉が多発している議事録は、伝わりにくい議事録といえます。
また、定例会議に初めて参加した時など、言葉の意味が掴みにくいこともあるでしょう。
その場合は会議終了後に上司や先輩に「例の会議、とは何を指していますか?」
「あのときのマーケティングとは何ですか?」と質問して、内容を把握しておきましょう。