本日の朝日新聞に、弊社代表河野のインタビュー記事が掲載されました。

2018-04-11

(聞きたい)貸し会議室、なぜ増える? ティーケーピー社長・河野貴輝氏

■空間シェア、企業も「再生」

 ビルの空き物件を使った貸し会議室が増えています。2020年の東京五輪に向けて、都心を中心にオフィスビルの建設ラッシュが続くなか、なぜ今、貸し会議室が求められるのか。貸し会議室大手ティーケーピー(TKP)の河野貴輝社長(45)に聞きました。

 ――貸し会議室を始めたきっかけは。
 「デフレ不況で空き物件が大量にあった時代、物件を安く借りて、空間をコインパーキングのように時間貸しできないかと考えた。バブル崩壊後に企業が手放した保養所をセミナーホテルに変えるなど、社会が縮小する中で使われなくなった空間の『再生業』だ」

 ――なぜ今、貸し会議室が増えているのですか。
 「景気が良いと企業は人材にお金を回すので、研修施設の需要が高まっている。もう一つは働き方改革で、出社しなくても出先や自宅で仕事できる環境が整い、わざわざ会社に集まって会議をする必要がなくなりつつある。今後は、ターミナル駅前の貸し会議室に集合する時代になる」

 ――いつごろでしょう。
 「米国でシェアオフィスを展開する『ウィーワーク』は設立から8年で、IBMやマイクロソフトといった大企業が利用するまでになった。日本でも今後5~10年で、そういう働き方が浸透するだろう。市場規模はコワーキングスペースやホテルの宴会場も合わせれば、1兆5千億円くらいになるのではないか」

 ――20年にかけて、都心部では大型ビルの建設ラッシュが続いています。
 「企業が支払うオフィス賃料の約2が会議室にあたると思われるが、中には1カ月に1回も使っていない部屋だってあるはず。新築のオフィスに移れば賃料が上がるので、無駄を削ろうと『会議室はシェアでいいよね』となる。また、新築への移転が増えれば、空き物件の仕入れ時になる」

 ――空間をシェアするのはオフィスだけですか。
 「昨年、大塚家具と資本業務提携し、稼働していなかった大型店の一部を催事場に変えた。予備校の一部教室を貸し出す事業もしている。我々は短期で売り抜けるハゲタカファンドではないので、空間を再生しつつ共栄共存し、企業の『事業再生』をしたい」

 ――注目する物件は。
 「アイデア段階だが、家電量販の大型店を利用して、ネット通販の商品を展示したり、購入した商品の返品窓口を置いたりする『ショールーム』にできるのではないか。ネットとリアルの融合を手がけたい」
 (聞き手・牛尾梓)

 かわの・たかてる 大分県出身、慶応大卒。1996年、伊藤忠商事に入社。為替証券部でディーラーを経験した後、日本オンライン証券(現カブドットコム証券)設立に立ち会う。イーバンク銀行(現楽天銀行)で執行役員営業本部長などを経て、2005年に独立してティーケーピーを設立した。