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2019年4月15日の日本経済新聞電子版に弊社に関する記事が掲載されました。
急成⻑するシェアオフィス市場で陣取り合戦が激しくなっている。15⽇には貸会議室⼤⼿のティーケーピー
(TKP)が、「リージャス」などのブランドでシェアオフィスを世界展開するIWG(スイス)から⽇本事業を買
収すると発表した。ソフトバンクグループが出資し、拠点を急拡⼤する⽶ウィーワークなどに対抗する。シェアオ
フィスは働き⽅改⾰やスタートアップ企業の増加で需要が拡⼤している。競争が激化するなか、今後は収益確保が課
題となる。
シェアオフィスは家具や電話、インターネット環境など、ビジネスに
必要な設備をあらかじめ備えた貸事務所を指す。⼀般に⽉額会員制で、
個室のほか、「コワーキングスペース」と呼ぶ共⽤部分を併設する。
TKPが買収するのはIWGの⽇本法⼈、⽇本リージャスホールディ
ングス(東京・新宿)。国内では約150カ所を運営する最⼤⼿だ。
TKPは拠点を引き継ぐほか、国内で各ブランドを使って出店するライ
センス契約も結んだ。買収⾦額は約500億円。買収資⾦は銀⾏からの借
り⼊れでまかなう。
「⼤きな決断だった」。TKPの河野貴輝社⻑は15⽇⼣⽅、⽇本経済新聞の取材にこう話した。
TKPは2017年に東証マザーズに上場。空きビルを借り上げ、貸会議室に改装して企業などに時間単位で貸し出し
ている。17年には⼤塚家具と資本業務提携を結んだほか、⽀援を名乗り出たこともある。
19年2⽉末時点の⾃⼰資本が106億円の同社にとって、今回の買収が財
務に与える影響は⼤きい。それでも踏み切るのはシェアオフィス市場に対
する成⻑期待がある。
不動産サービスのJLLによると、東京都⼼5区のシェアオフィスは13
年以降に目⽴って増加。18年末には床⾯積が15万6000平⽅メートルと前
年⽐48%増え、19年もさらに拡⼤する⾒通しだ。
背景にあるのはまず企業の「働き⽅改⾰」だ。シェアオフィスを活⽤す
れば、⾃宅近くの拠点に出勤したり、外回り営業後に帰社せずに済むよう
になる。このほか、スタートアップの活況も需要を押し上げている。
成⻑市場だけあって新規参⼊も活発だ。代表格が、ソフトバンクグループが出資する⽶ウィーワーク。18年に⽇本
へ進出し、東京都⼼の優良ビルに相次ぎ拠点を開設した。有望スタートアップの⼊居を促し、将来の出資や提携など
につなげる思惑もあるもようだ。
不動産⼤⼿も相次ぎ参戦する。三井不動産は⾸都圏を中⼼に全国35拠点を展開。20年度中に50拠点まで拡⼤予定
だ。三菱地所も東京・⼤⼿町地区などで、スタートアップ向けなどのシェアオフィスを広げている。
ただ、利益率は低めだ。主にオフィスの床を⻑期で借り上げて転貸しするビジネスモデルだが、賃料の上昇や同業
との競争激化が響く。IWGの18年12⽉期の連結営業利益率は6%。ウィーワークは⾚字が常態化している。「運営
の⼿間がかかるシェアオフィスにするよりも、普通に貸した⽅がもうかる」(不動産⼤⼿の幹部)とのぼやきも聞こえる。
⼀⽅で、IWGのマーク・ディクソン・グループ最⾼経営責任者(CEO)は「⽇本には現在の10倍の1500カ所の
出店余地がある」とみる。店舗網を早期に拡⼤するためには、国内の不動産事情に詳しいTKPとの連携が得策と判
断した。資産を持たずにライセンス収⼊で稼ぐことでリスクを軽減する意味もある。ディクソンCEOは「他国でも
現地事業者との連携による出店を検討する」と明かす。
TKPはシェアオフィスと時間貸しの会議室の事業を組み合わせれば、多様なニーズに応えられるとみる。海外の
IWGの会員がTKPの貸会議室を利⽤できるといった相互送客にも取り組む。
今回の⼤型買収は成⻑市場とみなされていたシェアオフィス事業がすでに再編期に突⼊したこともうかがわせる。