2020年7月27日(月)発刊の日経産業新聞に弊社についての記事が取り上げられました。

2020-07-27

式場をセミナー会場に、TKP、新常態の需要模索。

 新型コロナウイルス収束の見通しが立たない中、貸会議室大手のティーケーピー(TKP)がニューノーマル(新常態)で拡大する新たな会議室需要の取り込みを急いでいる。ブライダル事業のエスクリと業務提携し、コロナで稼働率が落ち込む挙式・披露宴会場をセミナー会場に活用する。貸会議室では大学での実施が困難になった各種の民間検定試験やウェブセミナーの利用が増えている。
 「6月以降の会議室需要は回復傾向」。河野貴輝社長はこう話した。新型コロナ対策ガイドラインを策定した。ソーシャルディスタンスを意識したレイアウトを推奨し、消毒や除菌、換気、密閉状況の回避を徹底。飛沫防止アクリルスタンドやサーモグラフィー、非接触型検温器なども充実させ、ニューノーマル下の会議室需要に備える。
 貸会議室には民間検定試験の会場としての需要が集中。6月の利用用途で試験会場が占める割合は前年同月の約2倍に増加。株主総会の会場としての利用も例年よりも多く、ウェブセミナーやライブ配信のスタジオとしての利用も増加した。必要な機材や設備の手配から事前リハーサルや当日を含めTKPの専門スタッフが一括で支える。
 TKPはエスクリと資本業務提携を結んだ。エスクリへの出資比率は12・59%。取得額は5億6800万円。エスクリは東京23区および政令指定都市のビルを中心として利便性の高い好立地で国内33施設を展開している。約3万社の法人顧客を持つTKPは婚礼会場やチャペルなどをセミナーの会場に活用する。河野社長は「婚礼会場は窓があり、天井も高く、コロナ対策になる」とみる。コロナで1挙式あたりの利用人数が減少し、平日の稼働率向上が課題になっている。一方、貸会議室の分散利用が増加しているが、1人あたりの利用面積も増え、新しい場所の確保が必要だ。婚礼会場の活用で貸会議室の新規出店のリスクを抑え、好立地でグレードの高い会場を確保できるとみる。
 TKPグループは5月末時点で会議室やレンタルオフィスを427施設(台湾13施設含む)展開している。これまでのオフィスは固定賃料や多額の敷金・内装費を支払い、長期間借りる契約。新型コロナ感染拡大の影響を踏まえ、TKPでは「オフィスは必要なとき必要な分だけ利用される契約が増加する」(河野社長)とみる。富士通は今後3年をめどにオフィス面積を半減させる。サテライトオフィスを活用する動きが加速する可能性もある。
 ウィズコロナ時代の新常態が、コロナ禍で失った需要を埋め合わせるだけでなく、新たな需要を生み出すかもしれない。(小田浩靖)