2021年01月26日(火)発刊の日本経済新聞に弊社についての記事が取り上げられました。

2021-01-26

株主総会、リモート併用増、今年、完全移行は難しく、経産省、指針策定へ

 2021年の株主総会は実際の会場とオンラインによるリモート参加を併用した「ハイブリッド型」の開催を検討する企業が大幅に増えそうだ。政府は実際の会場を設けずにインターネットを通じて開く「完全オンライン型」も可能とする法改正を目指すが、企業側の準備を6月の総会シーズンに間に合わせるのは難しい。経済産業省は企業側の需要も当面はハイブリッド型が大きいとみて、判断に迷う点などについて指針を示す。

 現行の会社法は株主総会について物理的な会場を設けることを規定している。政府は完全オンライン型の解禁に向け、通常国会に関連法の改正案を提出する。ただ企業は開催の2週間前までに招集通知を送る必要があり、6月16日までの会期中に成立しても、今年6月の完全オンライン型総会は計画しにくい状況だ。

 新型コロナウイルス禍により1つの会場に大人数を集めるのが困難になったことで注目されたのが現行法でも可能なハイブリッド型。三菱UFJ信託銀行によると20年の6月総会で実施したのは122件で、3月期決算企業の5%程度だった。20年はコロナ禍の影響の大きさが分かってから6月まで時間が短かった。21年は十分に時間がある。

 経産省は「企業側は『出席したい株主には来てほしい』という思いもあり、ハイブリッド型の需要は大きいのではないか」と分析する。コロナ禍が長引き、実際の会場とオンラインとを両方用意することが株主の利便性向上につながると考える企業が多いとみている。実施企業の事例をもとに配信方法や肖像権の取り扱いなどの注意点をまとめた手引を近く公表して後押しする。

 手引では、オンライン会場について「動画配信システムに限らず、電話会議や音声配信の活用も可能」との見解を示す。株主の肖像権については氏名などの配信が想定される場合「招集通知で事前に通知する」といった手法を紹介する。

 株主総会のオンライン開催は欧米が先行し、日本は出遅れている。経産省によると、米国はデラウェア州など30州で完全オンライン型の総会が認められている。欧州でもドイツやフランスなどはコロナ禍に対応した時限立法で完全オンライン型の開催を認めた。ハイブリッド型は手間がかかり、会場ではコロナの感染防止策も必要になる。

 20年6月に日本でハイブリッド型の総会を開催した122社のうち、議決権行使や質問ができる「出席型」は9社、視聴だけができる「傍聴(参加)型」は113社だった。オンラインで傍聴だけができる方式に比べ、議決権行使などを認めるには本人確認や通信障害へのより高度な対応が必要だ。

 手引では出席型の開催中に通信障害が起きた場合、電話会議システムなどほかの手段に切り替えるなどして審議や決議の継続ができるようにすることを求めた。ソフトバンクグループの20年の総会では通信障害が発生した場合、休憩後に再開するなどの複数のシナリオを用意していた。インターネット関連サービスを手掛けるガイアックスはオンラインでの参加の株主に本人確認をした上で、ハイブリッド型の総会を開いた。

 貸会議室大手のティーケーピー(TKP)が必要な機材や設備の手配から事前リハーサルの支援まで手掛けるなどオンライン配信を支えるサービスも出てきた。ハイブリッド型でオンライン形式を探りながら完全オンライン型に移行する企業も多いかもしれない。