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ビジネスホテル訪日客つかめ、大半の客室を畳に、ツイン増やす、出店再開や異業種参入。
2015-01-22
日本経済新聞夕刊に当社関連記事が掲載されました。
外国人観光客を中心とした宿泊需要拡大を受けて、ビジネスホテルで新たな施設をつくる動きが広がってきた。凍結していた出店を再開したり、異業種の企業が参入したりする例が出ている。訪日客の宿泊の受け皿として、ビジネスホテルの存在感が高まりそうだ。
「コンフォートホテル」を運営するグリーンズ(三重県四日市市)は今秋、5年ぶりに新規のホテルを出す。米社とフランチャイズチェーン(FC)契約を結んで国内に50軒を展開するが、東日本大震災後の観光需要低迷を受け、2010年11月に愛知県刈谷市に開いた施設を最後に出店を見送っていた。
再開1号店は名古屋市や京都市などで検討する。100~300室で、料金はシングル1泊で1万円前後を想定している。24年までに都市部を中心に新たに20軒開く。
貸会議室のティーケーピー(TKP、東京・新宿)は17年までの3年間に都市部を中心に10軒開く。アパホテル(同・港)とFC契約して昨年8月に貸会議室を併設したホテルを札幌市に設けたところ外国人客の利用が多かったため、多店舗展開を始める。貸会議室がない店も検討する。
需要開拓へ新たな趣向のホテルを開くのは「ドーミーイン」を展開する共立メンテナンスだ。15年度に和をテーマにした新ブランド「野乃(のの)」を設ける。大半を畳の部屋にし、入館時には靴を脱ぐようにすることなどを検討している。
15年度中に鳥取県境港市に1号店を出す。境港はウラジオストクとの間にフェリー航路があり、ロシア人観光客向けに和風の部屋の需要を探る。16年度には大阪市の難波に2号店を開く計画。同社の15年3月期の連結経常利益は71億円と過去最高になる見通しだ。
藤田観光は4月から主力の「新宿ワシントンホテル」(東京・新宿)の本館を数十億円かけて全面改装。ツインやダブルの部屋を増やして観光客が泊まりやすいようにする。
日本政府観光局の調べでは、14年に日本を訪れた外国人客は1341万人と前年比で3割増えた。国土交通省によると訪日外国人が宿泊に使った額も3割増えて6093億円だった。11年の約2倍になっている。
共立メンテナンスのドーミーインでは13年度の平均稼働率が87・1%と前年度から2・2ポイント上がった。14年7~9月はさらに上昇し、90・8%に達した。「訪日外国人の利用が押し上げた」という。「団体旅行で一度来た中国などの観光客が個人で来日する例が目立っている」(藤田観光)。駅前などにあって観光に便利なビジネスホテルの利用が増えている。
ホテル産業などの調査会社、米STRグローバルの石田恵ビジネスデベロップメントマネージャーは「外国人観光客は宿泊先に豪華な設備は求めないので、今後の商機は大きい」と指摘している。
▼ビジネスホテル 駅前立地が特徴の宿泊特化型のホテル。都市型ホテルのように宴会場など宿泊以外の設備を持たない場合が多い。高度成長期にチェーン展開したホテルが出張時の利用を促すために「ビジネスマンのホテル」とうたったことが語源といわれる。日本国内には約7千件あると見られる。