1. 議事録の種類
これから作るべき議事録がどのような内容なのかを理解しないと、わけがわからないものができあがってしまいます。
まずは議事録がどういうものかということを知ることから始めていきましょう。
議事録の必要性と意味
基本的に、議事録とは様々な会議や打ち合わせの内容、経過や結論などを記録してまとめ、それを周囲に伝えるための文書のことをいいます。
ただ単に会議の内容をメモしたものを清書したものではありません。
議事録の用途は、社内会議でのメモ書きや社内会議・研修などの備忘録から、会議報告書、株主総会、理事会議事録まで様々です。
まずはその用途と担保すべき品質のレベルを把握しましょう。
また、人は口頭で伝えただけでは話が食い違っていたり、勘違いがあったりということがよくあります。
たとえ参加していても、聞き逃していたり、すっかり忘れてしまったりすることがあるので、認識違いがないように議事録を作成し、
参加していない人も含めて情報共有をはかるために作成するものだということを理解しましょう。
議事録の作成時に課題になること
議事録作成にあたって、まず、いちばん大切なことは会議で何が決まったかということです。
会議の背景や前提がわかっていない、また目的や専門用語が飛び交う場合はその内容が理解できていない、
また、文章上の言い回しが決められないと議事録は書けません。
まず、いちばん大事なことは決定事項です。
まずはこれをはっきりさせ、そのためにやるべきこと(ToDo)を洗い出します。この2つを必ず抑えておくようにしましょう。
次に議事録を書く上で、どのように書いていいのかがわからず、
考えながらあれこれ書いているうちにまとまらずに時間だけが過ぎていってしまう…ということもあるでしょう。
前述の通り、
・話し合ったこと(議題)
・その答え(決定事項)
・やるべきこと(ToDo)
この3点を最初に書き出します。
次に会議が行われた日時、場所、参加者、欠席者を書き出します。最後は決定事項に至った過程をかいつまんで書いていけばいいのです。
上司が見ている議事録のポイントは「文書として美しく、簡潔で知りたいことがわかるか」
上司から議事録を頼まれたら、「上司に怒られたくない」のできちんと書いて「上司を見返したい」と思うはずです。
では、上司はどこをチェックするのでしょうか。
まず、議事録は会議が終わったら速やかに作成し、できれば当日中に配布することを上司は求めているでしょう。
なぜなら、重要なことを決めるために行われた会議ですから、配布が遅れれば、参加者などから上司が指摘を受けるかもしれません。
また、時間が経ちすぎれば細かいことは忘れてしまうかもしれませんし、スピードが求められる部署では利益にも響いてくることにもなります。
次に上司は議事録の内容について以下の3つを重視するでしょう。
・決定事項が正しく書かれているか
・読みやすくかかれているか
・内容が簡潔にまとめられているか
議事録は会議に参加していない人が後から読んでも理解できなければいけません。
そのため、上司はもちろん、誰が読んでもわかりやすく、そして簡潔にまとめられていることが求められます。
2. 議事録作成時のコツは「事前準備」と「構成力」
「議事録を制する者は会議を制する」といいます。事前準備として上司や先輩などから、過去の議事録や関係ファイルを入手しておきましょう。
また、慣れるまでは、過去の議事録をお手本にして、それに習って作れば手早く作ることができるでしょう。
会議の要点・目的を知っておく
議事録作成を頼まれた瞬間から、「聞いていればいい」「参加すればいい」という立場ではなくなりました。
まず、何を目的とした会議なのかを理解せずに、参加してはいけません。
当たり前のことですが、会議の目的をしっかりと認識し、準備を整えてから会議に臨みましょう。
これがわかっていないと、適切な議事録はいつまで経っても書くことができません。
特に5W2Hに基づいて事前にわかるところは会議の前に調べておき、明確にしておくようにしましょう。それが後の議事録作成に役立つはずです。
<5W2H>
Why(なぜ)、What(何を)、When(いつ)、Who(誰が)、Where(どこで)、How(どうやって)、How much(いくら)
会議前に議事録の構成を決めておく
実は、会議を事前にシミュレーションし、それに沿って会議を進行させれば、「議事録は会議前に作れる」ものなのです。
そのためには、以下の項目を押さえておくことが重要です。
・基本項目(会議名(標題)、日時、場所、参加者、議題)
・各項目の表記方法(西暦、24時間表記など)
・記載項目(背景・前提、会議の課題、決定事項とアクション(To Do))
また、会議の前提と課題を知り、その理由も押さえておくようにします。
加えて、会議で出てきそうな専門用語を事前に調べておくという作業を事前に行っておくことによって、会議の理解度がさらに深まります。
メモをする。手書きメモの場合は図式化してスピード化
議事録作成にあたっては参加者の発言を正確に記録することが大切です。
手書きによるメモが基本ですが、パソコンやICレコーダーなどを利用する場合は、持ち込んでよいかを必ず事前に確認しておきましょう。
ICレコーダーを併用することで、後から不明点が出たとしても安心できますので、ぜひ活用しましょう。
会議中の会話をその場ですべて書き取ることは不可能ですから、工夫しながら自分に合ったメモの取り方を作っていくようにしましょう。
メモがうまく取れるようになれば議事録作成も素早くできるようになるはずです。
メモの取り方には、以下のようなコツがいくつか存在します。
・質問・回答時は主語と目的語を必ずメモすること
・手書きの場合、文章ではなく図式化する工夫を行う
・主語と目的語が不明確な場合、会議の場で明確化する
・PCの場合、使い慣れたツール、エディタを準備しておく
要約しながら書くには、以下のように重要な箇所のみをメモをしていきます。
また、以下のように「図式化しながら書く」ことでスピードアップがはかれますし、後から見てもわかりやすいメモになります。
もちろん、誰が提案したのか、どんな目的でというメモも忘れずに空きスペースに書いておきましょう。
また、よく聞き取れなかったことやわからなかったことは、その場ですぐに確認するかそれができない場合は、
後からでもわかるようにサインペンなどを使って色分けするのもよいでしょう。
また、パソコンを使用する場合は、自分が使いやすいツールやエディタを使うことで
より速く処理できるようになるので準備をしておくといいでしょう。
(詳しくは後述の「効率化するソフト、自動生成のアプリやツール」を参考にしてください)
メモを元に、要点を簡潔に編集
まず、議事録は自分だけが読むものではなく、上司を含めた多くの人に読ませるものということを忘れてはいけません。
そのため、メモを清書するのではなく、どうまとめれば読みやすい要旨になるかを常に頭に入れておくことが大事です。
そもそも議事録は共有文書ですので、自分だけのフォーマットを使うのではなく、汎用的にまとめらることを目的としましょう。具体的なフォームに関しては後述します。
また、メモで作り上げた情報に、5W2Hに注意しながら内容を補足し、ビジネス文書として仕上げることを意識しましょう。
議事録の訂正・修正方法
議事録作成に慣れていない場合、訂正方法に関して、その正しい方法を知りたいということがあるでしょう。
経験が浅い内に書いた議事録が、上司や関係者に「よく書けている」といきなり100点を付けられることは多くはないでしょう。
むしろ、修正が必要なケースの方が多いでしょう。
この訂正・修正方法も、議事録の目的や種類によって分かれます。
例えば、社内会議の備忘録程度であれば、パソコンでそのまま修正すれば済む話ですが、
事会や取締役会議事録の場合、役所等の原本証明として使うため、訂正や修正箇所に二本線を引き、
余白に「〇字抹消、〇字加筆」と書き込み、捺印する必要があります。
このように議事録の種類によって訂正方法が変わるので注意しましょう。