働き方改革や新型コロナウイルスの影響を受け、テレワークに対する関心が高まっています。しかし、実際にテレワークを導入するに当たっては、必要な事前準備のほか、メリット・デメリットをしっかりと理解しておく必要があります。
今回の記事では、テレワークの意味や種類などの基礎知識のほか、企業がテレワークを導入するメリット・デメリット、導入に向けて押さえておくべきポイントについてわかりやすくお伝えします。
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働き方改革や新型コロナウイルスの影響を受け、テレワークに対する関心が高まっています。しかし、実際にテレワークを導入するに当たっては、必要な事前準備のほか、メリット・デメリットをしっかりと理解しておく必要があります。
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テレワークと聞いて、何となく意味はわかるけれど、具体的にどのような勤務形態を指すのか、よくわからないという方もいるのではないでしょうか。まず、テレワークの意味と種類について押さえておきましょう。
テレワークという言葉は、「tele=遠い・遠距離の」と「work=働く」を合わせた造語で、「(会社から)離れた所で働く」という意味を持ちます。
2009年に発行された「THE Telework GUIDEBOOK―企業のためのテレワーク導入・運用ガイドブック」(編集発行:国土交通省・総務省・厚生労働省・経済産業省)では、テレワークとは、「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義しています。
2005年には、産官学による「テレワーク推進フォーラム」が設立され、2015年からは毎年11月を「テレワーク月間」と定めるなど、テレワークの普及拡大に向けた動きが加速しており、未来につながる新しい働き方として期待が集まっています。
テレワークには、大きく分けて以下の3つの種類が存在します。
自宅で、パソコンとインターネット、電話、FAXなどを活用して行う働き方です。
移動中や顧客先、訪問先、喫茶店や図書館などで、パソコンや携帯電話などを使う働き方です。
勤務先以外のスペースでパソコンなどを利用した働き方です。社内LANがつながるスポットオフィスや専用サテライトオフィス、コワーキングスペース、レンタルオフィス、貸会議室などの利用が想定されます。
直営の会議室数が業界No.1の「TKP貸会議室ネット」では、サテライトオフィスの開設やWEB会議システムの支援なども行なっています。
ここからは、テレワークの導入による3つのメリットについて、具体例を挙げて解説します。
企業がテレワークを導入するメリットの一つとして、「災害やウイルスなど感染症の流行に備えられること」が挙げられます。
東日本大震災をはじめとした災害発生時、公共交通機関の運休時には、通常の通勤・業務が困難になります。また、新型コロナウイルスの感染防止の観点から考えた場合も、通勤ラッシュや人混みの環境は望ましくありません。時差通勤の推奨だけでは、混雑回避は困難でしょう。
その点、テレワークを活用すれば、災害時や公共交通機関の運休時にも通常業務を進めやすくなります。また、通勤時間を大幅短縮、またはゼロにすることができ、人混みを避けることが可能です。
テレワークを導入する二つ目のメリットとして、「オフィスの省力化による節電効果」が挙げられます。
テレワークを導入するとオフィス勤務人数が減少するため、照明の削減や空調使用時間の削減が可能です。2011年に総務省が試算したデータによると、テレワーク導入によりオフィス自体の電力消費量は一人当たり43%削減可能との結果が出ています。在宅でテレワークをする場合は、家庭の電力消費量は上がってしまいますが、その分を考慮しても、オフィスと家庭全体での電力消費量は、一人当たり14%削減可能という結果でした。
テレワークは企業にとって、節電をはじめ、オフィススペースの削減、営業拠点などの廃止、ペーパーレス化によるコスト削減など、最終的にはコスト削減につながるものです。
しかし、その一方で、テレワークを社員の自宅で行う場合、さまざまな懸念事項が生じます。
自宅での光熱費・通信費は会社で負担するとしても、私生活との切り分けはどうするのか、事前に対処法やルールを決めておく必要があります。また、在宅で使用するパソコンやインターネットなど、情報セキュリティの確保もしなければなりません。
テレワークの拠点を自宅とした際に、懸念事項の解決が難しい場合は、情報セキュリティが確保されたサテライトオフィス(貸し会議室)を利用すると、在宅勤務でのデメリットを回避することができます。
テレワーク導入の三つ目のメリットとして、「ワークライフバランスの実現・雇用創出・求人」につながるという点が挙げられます。
ワークライフバランスとは、仕事と生活を調和させ、その両方を充実させようといった考え方です。
・趣味や自己啓発、勉強など自分の時間を大切にしたい
・育児や介護と仕事を両立させたい
・障がいや高齢などの事情により、通常の勤務が難しいが、働きたい
上記のような考え方を持つ人は、特にワークライフバランスを重要視すべきといえるかもしれません。
テレワークは、時間と場所に縛られない働き方です。オフィス以外の場所で働くことができるため、家族との時間などを優先することも可能です。より多くの人が就業機会を得ることができ、精神的にもゆとりを得られるといったメリットもあります。
テレワークを導入する企業にとっても、雇用創出のメリットはかなり大きいといえます。今までの働き方は、オフィスへの通勤が前提でした。しかし、テレワークでは、通勤が困難な高齢者や障がい者、育児や介護に従事している人、遠方で暮らす人など、新しい雇用のチャンスが大いに広がるため、求めている人材と出会える可能性も高まるのです。
「2019年卒マイナビ大学生就職意識調査」によると、大学生の24.2%が就職観に対し、「個人の生活と仕事を両立させたい」と回答しました。また、日経HR社「働き方改革」に関する意識調査でも、転職志望者の約半数が「テレワーク(在宅勤務含む)の制度があると、転職志望度が上がる」と答えています。
就職希望者の多くがワークライフバランスに重きを置き、テレワーク導入済み企業に対して好印象を持っていることを踏まえると、テレワーク導入は、求人の際の大きなアピールポイントになるといえるでしょう。
ここまでテレワークのメリットについて見てきましたが、テレワークには導入前にあらかじめ注意・検討すべき点も存在します。
一人で作業が進められる仕事や、分担作業でもWebツールなどを用いながら進められる仕事は、テレワークにも適していますが、サービス業、医療、介護、保育といった業務は、一般的にはテレワークには不向きとされています。これらの業界では、「テレワークに適した仕事がない」とされているためです。
ただし、作業を細分化すれば、テレワークを実現できる可能性もあります。本格的な導入には、「業務改革)が不可欠ですが、まずは試行導入し、やってみることが大切です。
オフィス内で業務を行う場合、社内ネットワークに接続したパソコンを使用します。社内ネットワークでは、不正侵入防止システムをはじめとした高いセキュリティに守られているため、不正アクセスなどが起こる可能性は限りなく低いでしょう。しかし、テレワークの場合、必ずしも万全のセキュリティ対策ができていない状態でインターネットにアクセスしてしまう可能性も高まります。
その結果、本来企業秘密であるべき情報が外部に流出する(=情報漏えい)が発生するといった事態が考えられるのです。
テレワークによる情報漏えいの具体例について、いくつか例を挙げておきましょう。
・Free Wi-Fiから接続し、取引先とのメールが社外に流出した
・会社のシステムへのログインパスワードが流出した
・カフェで作業中、目を離した隙にデータが入ったUSBを盗まれた
・私物のパソコンで作業中、誤って会社のデータを共有クラウドにアップロードしてしまった
情報漏えいを防ぐためには、暗号化されていないWi-Fiサービスの使用を禁止するほか、パソコンやタブレット、スマホなどのテレワークで利用する全ての端末にセキュリティ対策ソフトを導入する必要があります。さらに、IDとパスワードだけでなく、ワンタイムパスワードや指紋認証などを加えた多要素認証を導入するなど、セキュリティ対策に力を入れる必要もあるでしょう。
また、在宅勤務ではなく、サテライトオフィスを利用したり、貸会議室をレンタルオフィス、コワーキングスペースとして契約したりすることで、情報漏えいリスクを大幅に下げることが可能です。
TKPのテレワーク支援では「1から自社でセキュリティ環境を整えると、初期コストがかかる」「社内にセキュリティ関係の知識を持つ人がいない」「独自セキュリティを構築しているため、そのまま同じ環境で使用したい」といったさまざまなご要望への対応が可能です。
テレワークの場合、オフィス外での業務となるため、実際の勤務時間が見えにくくなるといった問題が発生します。しかし、最近では労働時間を適切に管理するためのツールも多くなってきているため、そういったツールを活用するのも一つの手段といえるでしょう。
例えば、出退勤のクラウド管理ツールであれば、携帯で操作ができるほか、偽りの登録ができないよう、出勤退勤時の位置情報の確認がセットになっています。また、PCログ管理システムを導入することで、作業時間や作業内容の見える化が可能となりました。
また、自宅ではなく、サテライトオフィスやレンタルオフィス、貸会議室を活用することで、より出退勤を明確化する方法もあります。
テレワークでは、対面に比べ、コミュニケーションが難しくなりがちです。オフィスであれば、隣の席の上司に質問すれば解決できることや、ハンコをもらえば解決できることも、テレワークでは電話やメールなどのワンクッションを挟まなくてはなりません。また、オフィス勤務者とテレワーク実施者との間での情報共有が難しかったり、電話応対などでオフィス勤務者に負荷がかかったりといった問題もあります。
ただし、さまざまなツールを活用すれば、コミュニケーションを円滑にすることが可能です。その一例をご紹介します。
・WEB会議、ビデオ会議、ライブ配信
・ファイル共有システム
・SNS
・チャット
・メール
・電話
必要なツールは、業務内容によって異なります。「大人数かつ遠隔地をつないで会議がしたい」「すぐに回答が欲しい」「外部からのメールを転送したい」など、ニーズに合わせてツールを選択するとよいでしょう。また、ほとんどのツールは、無料または低い初期コストでの導入が可能です。まずは、お試し感覚で導入し、反応を見つつ、本格導入を考えるのも有効でしょう。
また、サテライトオフィスや貸会議室を利用する場合、ネット回線やPCモニターなど、WEB会議やライブ配信に必要な準備を全て依頼することもできます。テレワーク導入に向けての準備が大変だと感じている方は、積極的にサービスを活用することをおすすめします。
最後に、テレワーク導入を検討する前に必要な準備と、知っておくと便利な助成金・補助金についてご紹介します。導入前には、必ずチェックしておきましょう。
テレワーク時にも、労働基準法などが適用されます。特に自宅でのテレワークの場合、下記内容に注意する必要があります。
・労働条件の明示
・労働時間の把握
・業績評価、人事管理等の取扱い
・通信費、情報通信機器等の費用負担
・社内教育の取扱い
労働時間の管理には、「始業・終業時刻の管理」「在籍・離席確認」が有効です。始業・終業時刻の報告は、電話、Eメール、勤怠管理ツールなどの種類があり、管理のしやすさや従業員の使い勝手に合わせて選ぶとよいでしょう。在籍・離席確認も同様です。
ただし、業種によっては必ずしも管理が必要なわけではありません。細かなルールは、労使で話し合って決めることが大切です。
労働基準法34条第2項では、原則として労働者には休憩時間を一斉に付与することが規定されています。しかし、テレワーク時には、労使協定により、一斉付与の原則を適用除外とすることができます。 ただし「テレワークなら、仕事の手を止めているかもしれない」「仕事以外のことをしているかもしれない」と、勝手に休憩時間を減らすことはできません。通常勤務同様、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、労働時間が8時間を超える場合は60分以上の休憩を与える必要があります。
テレワークにおいても、時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)の締結、届出及び割増賃金の支払や、深夜労働による割増賃金の支払が適応されます。
テレワークは、業務の効率化が進む一方で、管理者と離れた場所での労働となることから、長時間労働を招く危険性が指摘されています。長時間労働による健康障害を防ぐためには、「テレワークの時間外・休日・深夜労働の原則禁止」「時間外のメール送付の自粛」「システムへのアクセス制限」「長時間労働を行う者への注意喚起」などが必要です。
テレワークを行う際は、通信インフラやセキュリティに関する確認・整備が必要です。具体的にどのような点に配慮が必要なのか、見ていきましょう。
テレワークにおける通信インフラとは、インターネット環境、グループウェア、コミュニケーションツールを指します。通常のインターネット回線(公衆回線・専用回線)ではなく、VPN(Virtual Private Network)経由でオフィスと設定を共有する専用回線の場合、より高いセキュリティでの業務が可能になります。
テレワークにおける通信インフラとは、インターネット環境、グループウェア、コミュニケーションツールを指します。
通常のインターネット回線(公衆回線・専用回線)ではなく、VPN(Virtual Private Network)経由でオフィスと設定を共有する専用回線の場合、より高いセキュリティでの業務が可能になります。ただし、通信インフラを利用する際には、セキュリティが確保されているか、新しいシステム導入時に回線にかかるコストが増えるのかといった点を、改めて確認しておくことが大切です。
テレワークでよく用いられるグループウェアは、英語では「Groupware」または「Collaborative software」と表記されます。ネットワークを使用し、情報共有をしたり、コミュニケーションをとったりするツールのことです。電子メールやファイルの共有機能、スケジュール管理機能などがあります。
さらに、テレワークを成功させるための鍵を握るコミュニケーションツールとして、WEB会議やメール、電話、チャットワークなどが挙げられます。こういったツールは、実際に使ってみなければ効果がわかりにくいものです。試用期間を設け、使い勝手などを試しながら、本格導入に向けて動いていきましょう。
前述したように、テレワークでは、情報漏えいを防ぐ対策に力を入れる必要があります。実際に行うべき対策について、ルール・教育・ツールの3点から解説します。
・セキュリティのルール
テレワークは、オフィス以外の場所で業務を行うため、個々の従業員が判断するケースが増えます。そのため、セキュリティガイドラインを定め、問題の発生を未然に防ぐことが大切になるでしょう。
・セキュリティに関する教育(人)
従業員に対し、セキュリティに対する教育を行います。ルールの趣旨を説明し、理解させることで、ルール遵守への意欲も高めることができるでしょう。
・セキュリティを守る技術(ツール)
ルールや人の判断では対応できない部分に対しては、技術で補います。外部からの攻撃に対し「認証」「検知」「制御」「防御」を自動的に行うシステムの構築が望ましいといえます。
また、モバイルワークにおいては、暗号化されていないFree Wi-Fiの使用を避けたり、不特定多数の第三者が存在している場所(カフェやコワーキングスペースなど)での物理的な覗き込みに注意したりする必要があります。
自宅でテレワークを行う場合、作業環境としては下記の環境が望ましいとされています。
ポイント | 内容 |
---|---|
照明 | 机上は照度300ルクス以上 |
窓 | 窓などの換気設備を設ける |
椅子 | ・安定していて簡単に移動できる ・座面の高さや背もたれの角度を調節できる ・肘掛けがある |
机 | ・必要なものが配置できる広さがある ・作業中に脚が窮屈でない空間がある ・体型に合った高さ、または高さの調整ができる |
温度・湿度 | ・室温17℃~28℃ ・相対湿度40%~70% |
ワークスペースの確保のほか、自宅に同居家族がいる場合、家族の生活環境、生活リズムとの調整も重要です。この課題は、自宅以外の作業場所(サテライトオフィスなど)を設けることで、改善可能です。
さらに、モバイルワークの場合も、上記の執務環境がベストではあるものの、一般的なカフェやコワーキングスペースなどでは上記条件をすべて満たすことが難しい傾向にあります。また、セキュリティの面でも不安が残るでしょう。
そのため、企業がサテライトオフィスやレンタルオフィス、貸会議室の活用を積極的に取り入れ、従業員の働く場を整えることが、最も効率的なテレワークの推奨といえるでしょう。
テレワークの導入やサテライトオフィスの利用においては、助成金や補助金が使えることがあります。制度の一部をご紹介します。実施期間はそれぞれ異なるため、詳細は実施元のサイトをご参照ください。
対象事業主は、新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規導入する中小企業事業主。
テレワーク用通信機器の導入・運用、就業規則・労使協定等の作成・変更などが助成対象です。
対象事業者は、常時雇用する労働者が2人以上かつ999人以下で都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等。テレワーク機器導入事業、サテライトオフィス利用事業が助成対象です。
対象事業者は、常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等。また、都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」への参加など、いくつか申請の要件あり。機器等の購入費、クラウドサービス等ツール利用料などが助成対象です。
対象事業者は、都内に勤務している常時雇用する労働者を2人以上999人以下、かつ6か月以上継続して雇用していること、就業規則にテレワークに関する規定がないことなど、いくつか申請の要件あり。テレワーク環境の構築、就業規則へのテレワーク制度整備などが助成対象です。
対象事業者は、横浜市内に本社を置き、常時雇用する従業員が2人以上の中小企業(新型コロナウイルス感染症によるテレワーク導入特例に限り、個人事業主も対象)。多様で柔軟な働き方を推進するための研修ほか、テレワーク導入に関する費用(備品購入費、ソフトウェアの使用料、コンサルティング委託料など)などが助成対象です。
それでは、最後にテレワークについて押さえておくべきポイントについて振り返っておきましょう。
1.企業がテレワークを導入する3つのメリット
・災害やウイルス流行に備える
・オフィスの省力化による節電効果
・ワークライフバランスの実現・雇用創出・求人
2.テレワークの実施前に確認したい注意点と対策
・機密情報の漏えいリスク対応
・労働時間の管理
・コミュニケーションの工夫
3.企業がテレワークを導入する前に準備すべきもの
・労務管理
・通信インフラ・セキュリティ
・執務環境
・助成金や補助金の確認
数年前から始まっているテレワークの推奨ですが、新型コロナウイルス感染症により、多くの企業が対応を迫られることになりました。しかし、テレワーク導入に向けては、さまざまな準備が必要です。できるだけ早くスムーズに導入したいとお考えの方は、お気軽にTKPのテレワーク支援までご相談ください。
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